夜光の独り言
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2005/3/14
26.唐ゼミ「少女都市からの呼び声」〜唐十郎フェスティバル

3月5日に近畿大学で行われた唐十郎フェスティバルに、唐ゼミの公演を見るため、行ってきたのであります。めちゃくちゃ寒く、テントの中にはストーブがいくつもおいてありました。私は、かぶりつきで見たため、ストーブの恩恵にあずかることはなく、寒さに震えたものの、押し寄せる舞台の熱気にあっという間の2時間でした。
 「少女都市からの呼び声」→写真
 唐ゼミの公演は、現代の若者が、唐十郎の過去の作品を上演するわけであります。 私も、唐ゼミの面々とは世代が違います。そのためにか、時に作品に対しての、注文を付けてしまいたくなったりするのであります。しかし、これは、違う気もするのです。唐ゼミこそ、唐十郎作品に今の命を吹き込んでいるのであるように思うのであります。その命は、世代が変わってしまった私たちには、本当には、理解できないことなのかもしれません。 
 一方、唐作品に流れる人間の情念などの普遍的なものは、唐ゼミ作品にも脈々と受け継がれていると思うのであります。 
 
 唐ゼミ作品に触れることは、若者を通して唐十郎を感じることであり、また、唐十郎を通して若者を知ることでもあるように思うのであります。唐組を見るのとはまた別の、紐解くおもしろさがあると思うのであります。
 
 若者を、なめてかかることは出来ないのであります。 それは、唐ゼミの作品、そして、役者陣の存在感などを見れば、明らかであります。
 
 中野君の唐十郎と対峙する姿勢は、若者エネルギーと言うだけではとうてい説明できないパワーと説得力があります。唐作品に取り組み、常連陣にも接し、かつ、劇団員をまとめ上げることにも並大抵ではないエネルギーと力量が必要でしょう。 椎野さん、禿さん、の女優としての存在感は歴代の女優に立ち向かう勢いを感じるのであります。 新堀君は今回の連隊長役でも、凝縮された存在感とどことなしのひょうきんさが唐作品を盛り上げたのであります。 今回主演男優だった安達君は、今の若者の美しさと力を感じさせました。 渡辺君はその大柄な体と繊細な演技で、主人公たちの運命を決定づける役を見事に演じたのであります。 杉山君は、人を飲み込んでしまう個性と絶妙な間によって、異世界を舞台上に作り上げていくのであります。 前田君のほのぼのした雰囲気と炸裂するパワーも唐作品特有の懐かしさを呼び起こしてくれるのであります。 小川君、土岐君は今回は出番が多いとはいえませんでしたが、唐作品に現れる”病院”の世界を作り出してくれたのであります。 看護婦(あえて看護師とは書きません)のシーンは、今回、私のお気に入りのシーンでありましたし、「私、瓶子です」と言ってそこに立つ瓶子の執念も面白く、脇を飾る古川さん、伊東さんらの女優陣が目を離せないのであります。 また、忘れてならないのは、照明の斉藤君の存在であります。舞台を楽しんでいるという点では、間違いなく役者や演出と変わりなく、いやそれ以上かもしれず、そのことが照明に現れているので、見ている方も楽しくなるのであります。 書ききれなかった唐ゼミメンバーも、唐世界の渦を作り上げていってくれます。
 
 そして、そして、唐ゼミの面々は、間違いなくあの唐十郎(私にとってはある意味、神様みたいな)に、強烈な影響を与えたことは間違いないと思うのであります。まあ、これは、超天才的な唐十郎の感受性によるのでありましょうが。
 
 何しろ、唐ゼミは、面白いのであります。 私は、これからも、唐ゼミを応援しますし、ぜひぜひ見させていもらいたいのであります!!!
 
 もちろん、唐組に寄せる思いは、また別のふかーい、ふかーい、深い思い入れがありますが・・・。




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